NIPTについて
どうやって異常が分かるの??
お母さんの血液の中には赤ちゃんの死んだDNA(セルフリーDNAといいます。細胞は絶えず生まれ変わりますのでごく正常なことです)が混じっています。
人の場合、各番号の染色体ごとに含まれるDNAの分量が決まっていて、お母さんのDNA+赤ちゃんのDNAの分布の割合は正常であれば一定です。
もし、赤ちゃんに異常があった場合は該当する染色体の番号の分布が増減します。
(下記にトリソミー21の例をイメージ図で示しました)
このわずかな違いを図って染色体の数の多い、少ないを見つけ出すことで異常が分かるのです。非常に精密さを必要とする検査となります。
ダウン症
人の染色体は通常お父さんとお母さんからそれぞれ1本ずつ引き継いで2本対 になっています。
これが、細胞分裂の過程で3本になってしまった状態を「トリソミー」と言います。
基本検査では染色体異常の約7割を占める3つのトリソミーの有無を調べます。
【21トリソミー:ダウン症】
平均寿命50-~60歳、成長障害・筋肉の緊張低下・特徴的顔貌を持ちます。
ダウン症の子の多くは支援クラスを利用し学校に通い、様々な分野で活躍する人もいます。
出生児における全体の発生率は約1/700。お母さんの年齢が上がるほどそのリスクは上がり、20歳で1/2000, 35歳で1/365, 40歳で1/100程度となります。
エドワード症候群
人の染色体は通常お父さんとお母さんからそれぞれ1本ずつ引き継いで2本対 になっています。
これが、細胞分裂の過程で3本になってしまった状態を「トリソミー」と言います。
基本検査では染色体異常の約7割を占める3つのトリソミーの有無を調べます。
【18トリソミー:エドワード症候群】
寿命は1か月~1年程度、胎児期からの成長障害、呼吸器系や摂食障害があり、通常は知的障害と出生時低身長のほか,重度の小頭症,心奇形,後頭部突出,変形を伴う耳介低位や特徴的顔貌などの様々な先天奇形が表れます。
特に呼吸器系の症状が予後を大きく左右します。発生率は出生児に対し1/6000程度。
お母さんの年齢が上がるほどリスクは上がり、女児に多く見られる異常です。
パトー症候群
人の染色体は通常お父さんとお母さんからそれぞれ1本ずつ引き継いで2本対 になっています。
これが、細胞分裂の過程で3本になってしまった状態を「トリソミー」と言います。
基本検査では染色体異常の約7割を占める3つのトリソミーの有無を調べます。
【13トリソミー:パトー症候群】
寿命は概ね1年、成長障害、呼吸障害、摂食障害があり、前脳,中顔面,および眼の発育異常,重度の知的障害,心臓の異常、低身長等多くの合併症が見られます。
微小欠失
微小欠失は、染色体物質の小さな一部が欠けることによって生じる染色体異常です。特定の染色体の特異領域でより多く発生するものもあり、既知の遺伝的症候群と関連しています。ほとんどは親からの遺伝ではなく偶然に起こるもので、家族歴がなく他のリスク因子がない場合でも起こり得ます。
全染色体+微小欠失検査にて下記症候群の有無を調べることができます。
【22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群、口蓋心臓顔面症候群)】
多様な疾患を複合的に有することが多いですが、その症状や重症度は個人差が非常に大きい疾患です。発生率は1/4000~1/15000と言われていることから、未診断のまま正常に暮らしている人も多数いると推測されます。
【1p36欠失症候群】
1番染色体に小さな欠失がある状態です。女児に多く発生します。特徴として緩やかな発達の遅れがあり特徴的顔貌を持ちます。発生率は約1/4000~1/10,000です。
【15q11.2欠失症候群】発生原因によって二つの症候群に分かれます。
-アンジェルマン症候群
15番染色体に発生します重度の精神発達の遅れ、てんかん、失調性運動障害、容易に引き起こされる笑いなどの行動を特徴とする疾患で初声率は約1/12,000です。
-プラダ―・ウィリー症候群
この症候群も同様に15番染色体に発生します。肥満、糖尿病、低身長、性腺機能不全、発達遅滞、筋緊張低下、特異な性格障害・行動異常が見られ発生頻度は1/10,000~1/25,000です。
【5p-症候群(猫鳴き症候群)】
5番染色体に発生します。甲高い泣き声、小頭症、幅広い鼻梁、内眼角贅皮、小顎、手足の指の異常、重症の精神運動遅滞などの特徴があり、発生頻度は1/20,000~1/50,000です。
【4p-症候群(ウォルフヒルシュホーン症候群)】
4番の染色体に発生します。特徴的顔貌,成長障害,重度精神遅滞,筋緊張低下,難治性てんかん,摂食障害などの特徴があり、約1/50,000で発生します。
性染色体の異常
性染色体の異常は、よく見られれ、先天奇形や発育異常の合併症を起こします。性染色体異常の影響は,同様の常染色体異常による影響ほど大きくはないですが、出生時に異常を見つけるのは難しく思春期まで診断されないこともあります。
単胎の妊娠の場合は各検査にて以下の項目を調べることができます。
双子の場合は各胎児から解析のため得られるDNA量が少ないといった、固有の問題がある為調べることが現在は出来ません。
【【モノソミーX(ターナー症候群)】
女児に発生します。2本のX染色体の内、一部または1本全てが欠失した状態です。低身長、二次成長が現れないなどの特徴があります。出生女児の約1/2500に発生しています。
【XXX(トリプルX症候群)】
女児に発生します。X染色体が3本ある状態です。明らかな身体的異常はまれにしか起こらず、二次性徴も正常な場合と殆ど差がなく、妊娠や出産が可能です。ただし、軽度の知的障害が認められることがあり、特に言語発達に問題を生じるケースが多いといわれています。出生女児の約1/1000に発生します。
【XXY(クラインフェルター症候群)】
男児に発生します。余分なX染色体(XXY)がある状態です。特徴として学習障害、長い腕と脚、小さな精巣、不妊症などの症状があります。出生男児の約1/500
【XYY(ヤコブ症候群)】
男児に発生します。2本のY染色体と1本のX染色体がある状態です。身体的問題はほとんど生じませんが、軽度の行動障害,多動性,注意欠如,および学習障害が特徴として見られます。